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2046

愛の迷路に入り込んだ男の物語。
2046とは止まった時間と凍り付いた心。
たった一人傷つきながら抜け出そうと、いつ駅につくかわからぬ列車に乗った小説の主人公は「心など初めから無かった」と叫んで2046の住人になる。

映画が終わって帰りしなに、娘さん達が「チャン・ツィイーが可哀相」というのを聞く。章 子怡は香港性工作者を演じるにはまだ田舎娘なのだろう。
今回、彼女は言葉と口元と眼が違う感情を表現するような複雑な演技を要求されていた。「十面埋伏」の2つの心でさえ演じきれなかった彼女には、成長の跡はみられるものの難しすぎた。
科白に忠実な感情を全身で表現することは、「英雄」までなら褒められたのだが、今回は営業用の感情演技とその下の意志、もう一つ下の心。男の押しの強さに徐々に負けてゆき、愛を求めるまでに弱る心と、プライドとの葛藤をどの様に一度に表現するか。それも性工作者の手管かと思わせる妖艶さは年齢的にも無理だろうが、一途に激しすぎる欠点はいつかは直さないと先が無い。
梁 朝偉はいつも優しい眼を絶やさない。 それは凍り付いた心。変わってゆく子怡と対照的。
木村拓也は小説の主人公であると同時に梁 朝偉の投影であるという。それにしては熱い眼をしている。ただ、もしかしたら演出側の要求かもしれない。小説の最後に2046の住人になることで醒めた眼をするようになるということで、過去の梁朝偉か、梁朝偉の醒めた眼の奥の秘められた心を表しているのかもしれない。

梁朝偉は変わらないということのために女優達を贅沢に消費する。小説であればいいが、映画ではそれぞれの女優のファンに怒られないのかなぁ。

ps.
仕事しながらふと考えた。何故60年代なのだろう。
この映画の舞台は60年代。2004年に何故60年代の映画を上映するのか。
私は未見だが、前作があるという。続編だからというだけだろうか。
この映画に登場する女性は古めかしい。60年代よりももっと前、(映画中に梁朝偉からの贈り物として出てくる)ナイロンストッキングが流通して強くなる前の女性っぽい。
もしかして、梁朝偉扮する主人公もまた、小説中の人物なのだろうか。
全てはボギーやローレンス・オリビエ、クラーク・ゲーブルの時代のハリウッド映画を懐かしんで或る人が書いた物語
ふとそんな気がした。
ノスタルジーを感じない若い世代には意味不明の映画になったかもしれない。

ps2.
カップルで観るのはやめた方がいいかも。
男の優しい目の中に梁朝偉と同じ醒めたものを見つけられると、3600円+食事代が無駄な出費になるやもしれぬ。

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